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第59話  

小林柔子は心配そうな表情を作りながら言った。「こんなことをして本当にいいの?だって、彼女はまだあなたのお兄さんの妻よ」

 それに対して、柳巧美は小林柔子の腕を取って、彼女のために憤慨するように言った。「柔子姉さん、あなたは本当に優しすぎるわ。慈善晩餐会の時に、あの女があなたをどう踏みにじったか見たでしょ?あなたは、彼女にちょっとした躾をするつもりはないの?」

 「彼女が欲しそうな顔をしていたのを見なかった?私は大きな心で、彼氏を貸してあげたのよ。きっと彼女、後で私に感謝するわ!」

 「とにかく心配しないで。本当に問題が起きたら、私が責任を取るから、あなたには関係ないわ!」

 「巧美ちゃん、あなたって本当に優しいのね!」

 小林柔子は感動したような表情を見せながらも、心の中では柳巧美を馬鹿にして笑っていた。この愚か者、道具として利用されていることにも気付かずに、彼女のために働いてくれた。

 しばらくして、松山昌平が別荘に到着した。その高身長な体格は、冷たいオーラをまとっていた。

 「彼女はどこにいる?」

 松山昌平は冷たい目つきで広い別荘のホールを見渡したが、篠田初の姿は見当たらなかった。彼の眉間のしわは一層深くなった。

 小林柔子はためらうような表情を作り、松山昌平に近づいて言った。「昌平さん、初さんは、今、上の階で......伊達明史さんと一緒に......」

 柳巧美もまた、悲しげな表情を作りながら言った。「兄さん、あなたの端正で賢い妻が、私たちがいない間に私の彼氏を誘惑してベッドに引き込んだのよ!」

 柳巧美はそう言い終えると、待ちきれずに松山昌平を連れて上の階に向かった。

 松山昌平は薄く閉じた唇を抑え、冷たい目つきをしながら、一言も発しなかった。

 数人で篠田初が以前使用していた寝室に向かった。ドアは閉ざされており、中からは曖昧な音が漏れ聞こえてきた。

 小林柔子が偽善的にドアを開けようとしたが、鍵が掛かっていることに気付いた。

 「昌平さん、中から鍵が掛かっているわ。開けられない......」

 その瞬間、松山昌平の顔色は青ざめ、怒りが完全に引き起こされた。

 「どいて!」

 次の瞬間、「ガン!」と大きな音がして、松山昌平が一蹴でドアを破壊した。

 しかし、彼らが目にした光景は、予想外のものだった。

 寝室の中には
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